マトハヅレのせかい

−第三集−「虫になる 鳥になる 花になる」

ながく続いた雨があがって 久しぶりに三原色の午後がもどってきた
ふだんの態度がクジラよりも大きいなまけもののプランクトンが、
クヌギのせなかを耕している
爆発したようにひろがる深い群青の空
その先にある宇宙は ペリカンのおでこよりもせまかった

地をあるくもの 空をはしるもの ひとつの景色で迷子になったら、
それらの眼になり見つめてごらん
いつまでも続くような すぐに終わってしまいそうな
時間の草むらでいびきをかいている 人間の忘れものをさがすのだ

生きものたちはバイオリンをひき バレエをおどり オペラをうたっている
雲のあいだからこぼれる音楽きけば ほんとうの心臓がどくんどくん
鳴いて わらって いつくしむ 誰も知らない森のせかいへ

マトハヅレのせかい