−第四集−「果実と星がめぐった日」

私たちは姿なき時間というものに支配されている。

「時間よ止まれ」とか「あの日に戻れ」といった祈りは、
無情にも進み続ける時の摂理に飲みこまれていく。

苦痛をともなう時間はあまりにも長く、
心踊るような時間は驚くほど短い。

幸か不幸か
万物に流れる24時間は時に歪むこともある。

人生に豊かさを求めれば、
人生の歩み方に価値とケチがつけられる。

我々の多くは過去を悔やみ、
未来を憂いながら暮らしている。

つまりそれは今ではない時間を生きているということである。


過去未来に属さない純なる「今」はどこにあるのか。

動物や虫や街や森や星たちの「今」はどこで繰り広げられているのか。

それは紛れもなく日常のなか、
何でもない平凡な1日のなかで起こっている。

音もなく映し出される秘密のドラマがある。
人知れず過ぎていくいのちの躍動がある。
慎ましく緩やかな流れのなかにひどく暴力的な現実が映される時もある。

誰もが知っているが誰も目を向けない鮮烈な瞬間を見つめた時、
この世界は美しくかがやくだろう。

夜をこえて、
悲しみをこえて、
天体はぐるぐるまわり朽ちていく。

生命はみるみる実り熟していく。

世界はすべてを乗せてめぐっていく。


今回、私たちが掲げる装身具製作においての主題は
「時間を記録した静物」であると考えます。

尾をひく残像、
移りゆく情景、
変化する色彩。

封じられた時間が再び動き出すその日まで、
良質な静物となり得る装身具をつくりたいと思っています。

それでは第四集「果実と星がめぐった日」始まります。