-コクモのおはなし-


少女は涙に暮れていました。
頼りなく吐き出したため息が木々のトンネルに溶けていきました。

悲しみの果て、ゆがんだ景色のなかに、
無数の黒い影が淡いひかりを放ちながら浮かび上がりました。

「お猿さん、あなたたちは？」

「猿ではない。
猿は君たちの祖先だろう。
我々は夜だ。夜そのものなのだ。
我々はみずからの名は知らないが、コクモと呼ばれている。」

つよい風が吹いて草木が暴れ、
森がウゥーとうなりました。
雲がかかって月が霞んでいるのに、
星たちは燦然とかがやく不思議な夜でした。

「わたしは真実が知りたいの。
どうしてこの世界はこんなにも朽ちかけのリンゴのようになってしまったの。
お日さまのひかりで照らしてもわたしの探しているものは見つからない。」

「ほんとうのことは白日のもとにはないのだよ。
すなわち夜こそが本質だ。
知恵と感性をもってもうひとつの目をひらきたまえ。」

少女の涙は星空に放たれました。

その目には星のひかりよりも
漆黒の夜空のほうがかがやいて見えました。

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◇素材　
　本体：Brass
　チェーン：Silver、Brass

◇仕様
　キーホルダー

◇サイズ
　H40mm×W35mm
　
◇備考
　こちらの作品は受注製作でなく、写真のものをお送りいたします。
ご注文後、4日以内には発送いたします。